標準偏差 ~リスクについて考える 

投資信託などのリスクを測る指標に標準偏差があります。

野村證券金融経済研究所が2005年6月にまとめたデータによると、

  標準偏差  リターン 
国内債券  4%  2% 
国内株  20% 4% 
海外債券 11%  4% 
海外株  18%  8% 
新興諸国株 24% 12% 
(表の数字は単純にする為に小数点以下は四捨五入しています)

標準偏差の1倍内で収まる確率=66.7%
標準偏差の2倍内で収まる確率=95.4%
↑これは統計学の決まりごとみたいなものなので、そういうもんだと思ってください。詳しく知りたい人は統計学の本を読んでみてください。

現在10000円の日本株投資信託があったとして、1年後4%のリターンがあれば10400円になります。しかし株価は定期預金などとは違ってブレます。そのブレが標準偏差の1倍の20%内に収まる確立が66.7%。3回に2回ぐらいは上下20%以内のブレで収まる。
そのブレが標準偏差の2倍の40%内に収まる確立が95.4%。おおよそ20回に19回ぐらいは上下40%以内のブレで収まる。

20%下にブレた場合で4-20=-16%  20%上にブレた場合で4+20=+24%
よって、1万円だった日本株投資信託が1年後に8400円~12400円の間に収まる確率が66.7%

40%下にブレた場合で4-40=-36% 40%上にブレた場合で4+40=+44%
よって、1万円だった日本株投資信託が1年後に6400円~14400円に収まる確率が95.4%

同じように海外債券について計算してみると、
1万円だった海外債券投資信託が1年後に9300円~11500円に収まる確立が66.7%
1万円だった海外債券投資信託が1年後に8200円~12600円に収まる確立が95.4%

一般的には、リターン-標準偏差分はしばしば下がる可能性が有り、場合によってはリターン-(標準偏差×2) まで下がる可能性が有ると思って投資金額を決められるのがいいんじゃないかと思います。
日本株ならリターンが4% 標準偏差が20%なので、1倍が-16% 2倍が-36%
海外株ならリターンが8% 標準偏差が18%なので、1倍が-10% 2倍が-28%
日本債券ならリターンが2% 標準偏差が4%なので 1倍が-2% 2倍が-6%
海外債券ならリターンが4% 標準偏差が11%なので 1倍が-7% 2倍が-18%
新興諸国株ならリターンが12% 標準偏差が24%なので 1倍が-12% 2倍が-36%

何で今こんな話をしているかと言うと、今株や為替なんかが下がっているからです。正直、上がっている時はリターンに目がいってしまい、なかなかリスクに対して意識が向かないものです。でも実際に下げを体感している時ならリスクを身近に感じるし、真剣に考える事ができると思うからです。
当たり前ですが、投資にはリスクが有ります。そのリスクの大きさをきちんと把握して、また投資金額や資金配分などでリスクを管理するのが大事です。

中央三井の4タイプの投資信託の基準価格を
2006年12月末→一番高かった月末→2007年11月26日(2007年12月末比)(一番高かった月末比) で見てみましょう。分配金は無視しました。
中央三井日本株式インデックスファンド 13248→6月14045→11647(-12.1%)(-17.1%)
中央三井外国株式インデックスファンド 13980→6月15744→13761(-1.6%)(-12.6%)
中央三井日本債券インデックスファンド 10345→11月10541→10541(+1.9%)(0%)
中央三井外国債券インデックスファンド 16674→10月17605→17144(+2.8%)(-2.6%)

債券のファンドは日本・外国債券ともに昨年末と比べてプラスです。
それに対して、株式のファンドは昨年末と比べてマイナスです。ここのところすごい下落しているイメージが有りますが、それでもまだ標準偏差の1倍程度です

2年ちょっと前に投資を始めて、バブル崩壊もITバブル崩壊も実際に経験していない私から見ると、今の下落はすごく大きく下落という感じがしてしまいますが。統計学的にみると、この位の変動は充分に想定内と言えそうです。

個別の投資信託の標準偏差とリターンは、設定後1年以上経っているものならモーニングスターで見る事ができます。
例)中央三井日本株インデックスファンド σというところが標準偏差です。
過去5年間の値動きから計算した標準偏差は15.15
過去3年間の値動きから計算した標準偏差は14.80
過去1年間の値動きから計算した標準偏差は10.09  となっています。
最初に書いた国内株の標準偏差20%という数字と比べて小さいのは、過去5年だとITバブル崩壊の急落が含まれていないから。過去1年がさらに小さい値なのは、2005年の高騰が含まれていないからだと思います。
日本株の標準偏差やリターンはインデックス投資の場合なので、個別投資の場合は標準偏差が大きくなるかと思います。

例)野村中国株ファンド
過去5年 標準偏差26.73
過去3年 標準偏差28.82
過去1年 標準偏差45.86
5年や3年で見ても20%台後半の高い標準偏差でした。過去1年間の値動きで計算した標準偏差は45%以上に達していて、ここ1年でさらに値動きが大きくなったことがうかがえます。

冒頭で野村金融経済研究所の出した、標準偏差とリターンを書きましたが、期間をどうとるかでこの数字は変わってきます。
標準偏差の大きさでいうと国内債券<海外債券<国内株・海外株<新興諸国株 って傾向は変わらないかと思いますが。

今回の記事で書いたのは長期での標準偏差ですが、短期での標準偏差は、ボリンジャーバンドとしてテクニカル分析にも使われます。

おすすめ関連リンク
ポートフォリオの期待リターンとリスクを数値で把握する  [梅屋敷商店街のランダムウォーカー]
今回の記事を書くにあたって、こちらの記事の影響は大きいです。とても参考になる記事でした。
また、この記事で触れられているタロットさんの効率的フロンティア計算シートは私も使わせてもらいましたが、すごく良いです。

相関関係とリターンやら [かえるの気長な生活日記]
各資産の標準偏差(リスク)の数字が載っているサイトを探して検索していて見つけたのが、相互リンクさせてもらっているこちらのブログでした。
REIT等今回取り上げなかった資産の、リスクとリターンの数字も載っていて、大変見やすい表です。
こちらの記事でもうひとつ取り上げられている相関関数。相関関数についてはまた、別の機会に記事にさせてもらおうと思います。

今はもう消えてしまったバブル時代の億万長者たち [Heywardが初心者におくる先物取引の手引き]
今回の記事の標準偏差とは直接関係ありませんが。相場の恐ろしさを知り、臆病にいくというのは大事だと思います。レバレッジが高い先物取引はもちろん、投資信託などでの運用でも投資金額が多ければその分リスクが増えるという事を頭にいれておくのも、投資を長く続けていくには必要かと思います。

<追記>相関関数~記事にしました。
株の値動き、標準偏差と正規分布について考える ←できたらこちらの記事もお読みください、。今回の記事では正規分布として扱って書いていますが、株の値動きは厳密な正規分布ではないです、少し歪んでます。

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コメント

こんにちは

オプショントレーダーにとって
日経平均の可動範囲と上昇・下落の速度は、
ある意味相場の方向を当てることより重要であり、
私は過去数年の陰極と陽極のデータをEXCEL化しています。
今回の下落は大きい目ですが、値幅もスピードも昨年6月には及びません。
よって、十分想定の範囲です。
日経平均がひと月に動ける範囲は15%程度です。
速度面の近年の例外はLDショック時の5日で-8.7%ですね。
標準偏差といえば、ボリンジャーバンドがこれを表しますね。
また、標準偏差の前提は、正規分布ですが、株価は正規分布しないことで知られています。
下落速度は上昇速度より速い。マーケットは往々にして行き過ぎる。
と思われるのはこのためです。
このあたりは、「投資の科学」
http://www.amazon.co.jp/%E6%8A%95%E8%B3%87%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6-%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8C%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AA%E6%8C%AF%E3%82%8B%E8%88%9E%E3%81%84-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BBJ%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3/dp/4822245519
に載っていますね。逆にこういう本があまりないのは残念です。

追伸

相関係数を考慮したポートフォリオ全体のリスクで
よくいわれるのは国内(株式、債券)、海外(株式、債券)
を1/4ずつ組み入れることで安定性を増す構成ですね。
しかし、ここ1ヶ月をみると海外(株式、債券)ともにはドル安でダメ
なので、国内債券とその他3つの逆相関という形ですね。
#そういえば、かくゆうわたくし、某MBKのもっとも細かな分類のリスク計測システム
を開発していました。
もう5年以上も前ですが、当時モーゲージ債券なるものが新商品と出ており
これの亜流がサブプライム債なんですねぇ。

すみパパさん
こんばんは。
「投資の科学」読んでみようと思います。

>日経平均がひと月に動ける範囲は15%程度です。
こういうふうに1ヶ月の値動きを考えた事がなかったので、見方として参考になりました。

相関関数とポートフォリオ全体のリスクについては、近いうちに記事にしたいなと思ってます。あまり難しい事は書けませんが。。
日本債券だけは上がってますが、値動きが小さいので、安定型のバランスファンドの様に日本債券の割合がだいぶ多めのポートフォリオじゃないと、という感じですね。

>某MBKのもっとも細かな分類のリスク計測システムを開発していました。

なるほど。そういったバックボーン・知識がある方にとっては、オプション取引はまさに向いてそうですね。

リターンにばかり目が行きがちですが、標準偏差って長い目でみると大事な要素ですよね。
数字だけ見ると日本株が非常に投資しくい数字なのが、非常に淋しい所ですね。

かえるさん
そうですね。とりあえず標準偏差でおおよそのリスクを把握してから買うといのは大事だと思います。
日本株、もっとがんばってほしいですね。売られていても、日本にもいい企業もたくさん有ると思うんですけどね。

またまた来ちゃいました

いつ来ても良いですなー


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