スターバックスの損益分岐点~ビジネスモデルを数字で見る 3 

変動費・固定費・損益分岐点の例としてスターバックスの決算を見てみたいと思います。
スターバックスを選んだのは、イメージがしやすい、業態が一つで分かりやすい、粗利率が安定している、IRページが充実している等の理由です。※この記事は買い推奨で売り推奨でもありません。

損益計算書を見ると、「売上」から「売上原価」と「販売費および一般管理費」を引くと「営業利益」となっています。
売上原価は、小売やレストランなどの場合は基本的に仕入れ原価です。スターバックスなら、コーヒー豆やトッピング・紙コップなどの仕入れにかかる費用にあたると思います。
「販売費および一般管理」は商品原価以外にかかる費用で、お店の家賃や店員の人件費、広告費、本部(役員や人事部や経理部や広報部etc)でかかる費用などです。
「販売費および一般管理」の中でも一部は「変動費」のものも有ると思いますが、ここではざっくりと、
「変動費」≒売上原価 「固定費」≒「販売費および一般管理費」として見ていきたいと思います。

08年3月期決算

売上 売上原価 販売費および
一般管理費
営業利益

907億円

263億円

577億円

67億円

100.0% 29.0% 63.5% 7.4%

500円のコーヒー一杯でしたら、そのうち材料費などの原価が145円、店舗の運営や本部の運営に掛かかる費用がが318円、そして残った37円が利益となります。
一般的な外食と比べると、原価の割合が低く、販売費および一般管理費の割合が高めだと思います。

チェーン店の場合、一店舗あたりの数字を見てみるというのもわかりやすいです。(←多角経営してない企業向きです。例えば、マックスバリュならこの方法でいいと思いますが、セブン&アイなど複数の業態を持っている企業の連結決算をこの方法で見るのはそれほどおすすめしません。)
店舗数を見ると、07年3月末で686店だった店舗が08年3月末には776店に増えています。月次IRに各月の店舗数が書いて有るのでそれの平均を取るのがより正確だとは思いますが、ここではめんどうなので686と776の中間値731店で計算します。

売上 売上原価 販売費および
一般管理費
営業利益

1億2400万円

3600万円

7900万円

900万円

100.0% 29.0% 63.5% 7.4%
※100万円未満は四捨五入してます。

原材料費を除いて、スターバックスを一店舗を1年間運営するのにかかる費用は、平均で7900万円。利益を出すには7900万円以上の粗利を稼ぐ必要が有ります。スターバックスの粗利(売上総利益)率は70.3~71.7%の間で安定しています。粗利率71%で計算すると、7900万÷0.71=1億1100万円。1億1100万円の売上が有ると、店の運営コストと同じ7900万円の粗利を稼ぐ事ができます。ここが損益分岐点です。
実際の売上は1億2400万円有りますので、その差が利益となっています。
一店舗あたりの利益を式にするならば、売上をX、利益をYとすると、
Y=0.71X-7900万  となります。
スターバックスの場合、粗利率が71%と非常に高いですので、損益分岐点を越えて売上が伸びると利益もどんどん大きくなります。売上が100万円伸びれば利益が71万円伸びます。

仮に、売上が5%UPして、1億3000万円になったらどうなるでしょう。
Y=0.71*13000万-7900万=1330万 1330万円の営業利益となります。
売上が5%上がっただけで、営業利益は900万→1330万 で+47.8%もの増益となります!

では反対に売上が下がったらどうなるか。
今年のスターバックスの月次を見てみましょう。2008年4月~9月を見てみると猛暑だった7月を除いて、既存店売上高が前年比割れしています。6ヶ月の単純平均で既存店売上高が97.8%となっています。売上が2.2%減ると利益がどうなるか計算してみましょう。
Y=0.71*12400万*0.978-7900万=710万円
一店舗あたりの売上が2.2%減るだけで、営業利益は900万→710万円 で21.2%もの減益となります。
この場合、以下のような数字になります。

売上 売上原価 販売費および
一般管理費
営業利益

1億2100万円

3500万円

7900万円

700万円

100.0% 29.0% 65.1% 5.9%
※100万円未満は四捨五入してます。

店舗運営費が全く変わってないとしたら、売上が下がると、販売費および一般管理の割合が相対的に増え、その結果営業利益率が悪化します。

以上は机上の試算ですので、実際の2008年4月~9月の中間決算を見てみましょう。

売上 売上原価 販売費および
一般管理費
営業利益
480億円 141億円 310億円 29億円
100.0% 29.5% 64.6% 6.0%

営業利益は前年同期比27.2%の減益でした。
ここまで試算に近い形になる事はあまりないかもしれませんし、ここまで細かく見なくても良いかもしれませんが。
今回の例ならば、
スターバックスの収益構造は、売上に対する「販売費および一般管理」≒固定費の割合が大きく、損益分岐点が高め。しかし粗利率は高いので損益分岐点を越えると、売上が伸びると利益も大きく伸びる。(一店舗あたりの)の売上の変化によって利益が大きく変化する収益構造。
そのため、月次を見て既存店売上高が減っていたら注意する必要有り。
ぐらいの認識でもいいかもしれません。

ちなみにアメリカのスターバックスは、財務諸表を一切見てないですが、似たような収益構造になっているのかなと想像できます。
アメリカでは600店が不採算店として年内に閉鎖する予定との事。
仮に一店舗あたりの運営費が7900万円かかるとするなら、損益分岐点より充分な余裕を持った売上を見込める店舗を作る必要があります。損益分岐点を越えている限りは、店舗数を増やすと企業全体では増収増益となります。しかし損益分岐点からギリギリの店舗を作ると今みたいに不景気になって売上が下がると損益分岐点を割ってしまう店が出てくる可能性があります。
もちろん、企業努力によりクオリティを落とさずに運営費の方を落としていくのも求められると思います。←スターバックスに限らずの話

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