ファットテール~NYダウ月間騰落率の分布 

ファットテール

実際のマーケットでは、正規分布が示す確率よりも、かなり頻繁に極端な値動きが起こる。

ファットテールに関しては、[ファンドの海]でも、投資信託のリターンは対数正規分布に従うらしい、けど厳密には違うらしいで触れていますね。

なおファットテールについては、投資の科学の第25章「投資におけるファットテールについて」に詳しく書かれています。本には、SP500日足(日々の騰落率)の分布のグラフが載っています。

じゃあ、実際のところどうなのか。自分で調べないと納得できないたちなんで、調べてみました。
まず今回は、データが長くとれたので、NYダウ月足(月間騰落率)の分布を見ていきましょう。1928年10月~2008年11月の962ヶ月。
下表を左から説明。騰落率は、月の騰落率です。ちなみに1は0~+1%の範囲、2は+1~+2%の範囲、-1は-2~-1%の範囲を表します。
実分布は、実際のダウの騰落率がその範囲に入った月数です。
正規分布は、962ヶ月分の正規分布だと仮定した場合、その範囲に入る月数です。今回のNYダウの月足データでは、平均が+0.5%、標準偏差が5.5% でした。
実分布率と、正規分布率は、実数を割合に直したものです。
実分布率と正規分布率の累計は、分布率を累計した数字です。例えば実分布率累計の-2のところが24%なのは、騰落率が-2%以下だった月が合計24%有ったという意味です。正規分布累計も同様です。

平均が0.5ですので、正規分布グラフのピークは0.5でそこから左右対称となります。当然一番のピーク(最頻値)は0~1%の範囲となります。
それに対して、実分布グラフのピークは、1~2%の範囲となっていて、少し右によっています。
次にプラスの月とマイナスの月の割合はどの位なのか。正規分布なら962ヶ月中516月(53.7%)がプラスで446月(46.3%)がマイナスとなります。
実数の分布は、962ヶ月中、555月(57.7%)がプラスで407月(42.3%)がマイナスとなっています。正規分布よりもプラスの確率が高く、グラフが右よりなのが見てとれます。

では、肝心のファットテールについて見てみましょう。騰落率-12%以下は正規分布では1.0%ですが、実分布では20月(2.1%)です。正規分布では騰落率が-17%以下となる確率は0.1%ですが、実際は9月(0.9%)が-17%以下でした。ちなみに最も下がった月は、1931年8月の-30.7%です。
騰落率が騰落率が+13%を超える確率は、正規分布では1.0%ですが、実分布では10月(1.0%)でほぼ同じです。しかしもっと端を見てみると、正規分布では+17%を超えるのは0.1%ですが、実分布では5月(0.5%)が+17%を超えています。なお最も上がった月は、1932年7月の+35.8%です。

以下は、グラフにしたものです。横軸が騰落率、縦軸が該当する月数です。

ダウ月足分布

実分布のグラフははピーク付近、-1%~+4%ぐらいの範囲が、正規分布よりも高くなっています。つまり集中しています。-13~-2%、+7~+15%といった範囲では、正規分布よりも少ない月数となっています。そして、正規分布では現れないような端っこのところに、実分布ではポツラポツラ点在しています。


まとめ
実際のダウの月騰落率の分布は、-1%~+4%程度の平凡な値動きをする事が、正規分布と比べて多い。しかも、ピークは少しプラスよりとなっている。ややプラスで終わる月が多い
しかし、時たま、正規分布では考えられないような大きな下落や大きな上昇が有る。

ダウの月足の分布を見ると、「正規分布だ!」とは言えないが、「正規分布っぽいかな~」と言える程度かなと。(少なくとも月足では)正規分布を前提にしての「2σを超えない確率は95.4%」などといった計算は、だいぶ誤差が出そう。
ちなみに投資の科学に載っているSP500の日足と比べると、正規分布よりも真ん中の平均値付近に集中しているが、端っこの方も正規分布より高いという傾向は一緒です。日足の方がファットテールがより強くでています。

ダウの年足の分布はどうなっているか、次回にでも見てみたいと思います。

<追記>
正規分布のグラフは、標準偏差が小さいほど、バラつきが小さく平均値付近に集中するので高く細くなります。反対に標準偏差が大きいと、低く広がった形になります。
ファットテール(大きな変動)部分が標準偏差を吊り上げていると思われますので、仮にこの部分を抜かして計算したら、標準偏差が小さくなります。正規分布のグラフは高く細くなるので、パッと見は実分布のグラフにもっと近い形になるんじゃないかと思います。
ただし、当然ですがそれだとテールが細くなりますので、実分布のファットテールとの差はより際立つ形となります。

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コメント

staygoldさん、こんばんわ。

ファットテールとベキ分布の違いがよくわからないのですが、
かなり頻繁に極端な値動きが起こる現象をファットテールといい、ファットテールを伴う分布はベキ分布となるという考え方でよろしいんでしょうか。

個人的には正規分布のグラフを重ねていることに凄いなあって思います。
こうやってみると正規分布よりσが小さくなっていますから、Cp=1を超えそうですね。
正規性の検定とかいろいろやってみたい気持ちになりました。ありがとうございます。

やすともさん、コメントありがとうございます。

正規分布などのグラフの端っこは、尻尾(テール)みたいに見えますが、この部分が太い(ファット)、つまり極端になる確率が高い事がファットテールです。
ベキ分布は、正規分布よりも極端になる確率が高めなので、似ているという事みたいです。

ちなみにたまに「株価の動きは、正規分布ではなくベキ分布だ」との記述を見かけますが。正確には、「正規分布っぽいんじゃない?でも、極端になる確率が高いからベキ分布の方が近いかも」程度かなと今は思ってます。

ゆうちゃんパパさん こんにちは。
本当は、正規性の検定みたいな事をしたかったのですが、よくやり方が解ってないので、見比べる程度の事しかできませんでした。
CP値、正確な数字だしていませんが(というよりゆうちゃんパパさんに言われるまでCP値ってしりませんでしたが。。)、日足など期間が短いほど大きくなり、年足など期間が長くなるほど小さくなっていく傾向があるようです。

力作ですね

ところで、「まぐれ」、今日のマーケットウィナーズで勝間さんがコメントしていましたね。

すみパパさん
こんにちは。マーケットウィナーズ見てみます。情報どうもです。

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